お灸治療について

お灸治療とは、艾(もぐさ)を燃焼させることで、身体の一部に温熱的刺激を与え、それによって起こる生体反応を利用し身体の調子を整えるたり、病気や怪我を予防するものです。

お灸の効果

①血流増加・筋緊張緩和

お灸を用いた温熱刺激により、局所を温めることによって循環が改善します。赤外線などの温熱療法もありますが、広い面よりもピンポイントで温めることにより、凝りなどに対して効果は高くなります。また、気持ちいい熱さがある温灸はリラックス効果もあり、交感神経を抑制させ、全身の緊張を緩める働きもあります。ご自分でマッサージなどされると手が疲れたり、体勢によっては他の部位に力が入ってしまうので、火をつけて置いておくだけで良いお灸はお勧めです。

②免疫力強化

お灸を用いて小さい炎症をおこし、生体の防御機能を増します。昔は局所を犠牲にして全身を守るという考え方の元で、局所の皮膚に対して打膿灸(お灸で人為的に化膿させる灸法)をし、大きな火傷を作り排膿を持続させ生体の防御機能を高めるやり方がとられていました。しかし、現在では免疫力強化には、温灸もしくは米粒よりも小さいお灸を使って、小さな火傷(赤くなる程度)を作るやり方が主流になっています。燃やし尽くさなくても効果はありますので、風邪の引きやすい時期などに試してみてはいかがでしょうか。

 

 


お灸のトラブル

①灸あたり

灸刺激が身体に対して過剰な場合に起こる生体の反応です。治療直後や翌日に、全身倦怠感、疲労感、めまい、発熱、悪寒などの症状が出ます。
小児、老年、女性、栄養状態が悪い方に起こりやすいです。基本的には身体に対する刺激が強すぎる為に起こるので、初心の方にたいしては灸壮を減らしたり、熱量を減らします。今では市販で火傷がしにくい台座灸が売られていますが、それでもやりすぎる事で灸あたりになりますので、自分で初めてやるときはマイルドやソフトなど熱量が弱いものから徐々に慣れていった方が良いと思います。灸あたりになったら動いたりせず気分が良くなるまでは横になってじっとしておきましょう。

 

②火傷

治療院や自宅でお灸をしていて、熱いのを我慢することで火傷になります。火傷には、Ⅰ度熱傷、Ⅱ度熱傷(浅層、深層)、Ⅲ度熱傷がありますが、お灸で起こる火傷はたいていⅠ度(皮膚が赤くなりひりひりする)かⅡ度(水ぶくれが出来る)程度でしょう。
お灸は昔と今とでは大分、治療法が変わってきました。昔はお灸は熱いものという認識がほとんどだと思いますが、現在のお灸は、台座灸などの温かいもの、燃やし切るお灸でも米粒より小さい艾を使ってチクッと刺激があるぐらいのものが主流になってきていると思います。基本的に火傷にならないような方法をとっており、昔に比べるとお灸の痕や、やけどが出来にくくなっています。しかし、台座灸などの温灸でも身体に合っていない熱さの物を使用したり、熱いのを我慢してしまう事で火傷してしまう恐れががあります。
お灸は熱ければ熱いほど良いというわけではありませんので、自分がリラックスして受けれる刺激量にしましょう。糖尿病の方は免疫力が落ちているので、火傷してしまった場合、細菌やウィルスに感染しやすくなっていますので、お灸を受けられる前に一度ご相談ください。

③匂い

トラブルとは少し違うかもしれませんが、捻るお灸も、市販されている温灸にも艾が使われています。この艾の匂いが独特なので、この匂いが好きな人もいれば嫌いな人もいます。この匂いが苦手な方は最初は我慢出来ていても、段々と気分が悪くなったりもします。一応治療院では換気設備がありますが、気分が悪くなる場合はお灸治療は控えた方が良いでしょう。
また、煙の量も多いので服に匂いが少なからずつくと思います。お灸治療を受けられる際は匂いがついても大丈夫な服装でお越しになられてください。(当院では使用しておりませんがノンスモークタイプのお灸もあります。ご自宅でお灸するときに匂いが気になる方は検討してもいいかもしれません。)