血圧

血圧

血圧には動脈血圧、静脈血圧、毛細血管血圧がありますが、一般的に血圧とは動脈血圧の事を言います。単位はmmHg(ミリメートルエイチジー)
血圧計が収縮(拍動が聞こえなくなるまで)して緩み始めた時に水銀血圧計などは聴診器で拍動を聞きます。拍動が聞こえ始めた所が最高血圧になり、さらに緩めていくと音が聞こえなくなります。完全に音が聞こえなくなったところが最低血圧になります。
※血圧を測るときに注意すること
①血圧は運動、精神状態、食事などの影響を受けやすいので、15分以上は安静にしてから測るようにする。
②座位または臥位(寝た状態)で楽な姿勢をとり、前腕全体が心臓の高さにくるようにする。
③衣服などで上腕が緊迫されないようにする。
④圧迫帯は肘より3センチほど上になるようにして均等に巻く。

 

 

正常血圧

一般的に最高血圧120mmHg、最低血圧80mmHg未満が理想的な血圧になります。また、120~129/80~84mmHgが正常血圧、130~139/85~89mmHgが正常高値血圧になります。

高血圧

収縮期血圧と拡張期血圧のどちらかが基準値を持続的に超えている場合を高血圧と呼びます。(一時的なものもあるので一回測定しただけでは高血圧とは言いません
高血圧にはⅠ度高血圧、Ⅱ度高血圧、Ⅲ度高血圧とあり、140~159/90~99mmHg(Ⅰ度)、160~179/100~109mmHg(Ⅱ度)、180mmHg~/110mmHg~(Ⅲ度)になります。
原因のはっきりしない本能性高血圧(90%以上)と、原因疾患がはっきりしている二次性高血圧があります。原因疾患には、腎疾患(慢性至球体腎炎、糖尿病性腎症など)、内分泌疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群など)、血管病変(大動脈収縮症)、薬剤性(ステロイド他)のものなどがあります。

症状

無症状な事が多いですが、高血圧が著しい場合は、頭痛、頭重感、肩こりなどの症状が出ます。
食塩過剰摂取、肥満、アルコール多飲、運動不足、喫煙、ストレスなどが高血圧に影響するので、血圧が気になる人や現在薬を服用している人などは生活習慣を見直すと良いかもしれません。
血圧は急には変わりませんので根気よく続ける事が大事です。

 

※血圧の薬は一度飲んだら一生飲み続けないといけないと思われるかもしれませんが、生活を改める事で血圧が安定してきたら、徐々に薬を弱くしていくことも出来ますし、上手くいけば止めることも出来ます。また、140mmHg、150mmHg程度の血圧が体に合っていて、薬で下げると調子が悪くなる方もいるようなので、血圧の薬を服用していて調子が悪くなるような方はお医者さんに相談しましょう。

低血圧

最大血圧(収縮期血圧)が男子で100mmHg、女子で90mmHgに達しない時に低血圧と言います。持続的に低血圧である場合と、一過性(起立性低血圧など)の場合があります。
高血圧に比べて危険視される事はあまりありませんが、低血圧の方にも、元気が出ない、集中できない、肩こり、めまい、立ちくらみ、失神など色々症状が出ます。
血圧が低く症状が出て困っている方は
①朝は低血圧になりやすいので注意
②食後は血圧下がりやすいので食べすぎないようにする。
③適度な水分、塩分を摂取する。
④弾性ストッキングの使用。
基本的に予後は良好ですがいきなり倒れてしまう事もあるので注意して生活しましょう。

 


高血圧の人も低血圧の人も生活習慣を改める事である程度改善することが出来ます。食事療法、運動療法などを取り入れながらストレスが掛かりにくい生活を心掛けて体のバランスを整えてあげましょう。

 

 

 

炎症

炎症


組織の有害刺激による局所性反応。疼痛、発熱、発赤、腫脹が炎症の4徴候だが、疼痛により機能障害も伴うこともある。

 

 

原因


①繰り返す運動、外力などの機械的、物理的刺激によるもの

野球肘(離断性骨軟骨炎)、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)、ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)など。

基本的に使い過ぎよって起こる為、スポーツを一時的に中止し症状が治まるまでは安静にします。また、筋力強化、ストレッチ、ステロイド薬の注射、テーピングやサポーターの装着なども症状の軽減になります。

多くの方が治りきる前に運動を再開するので、年余に渡って症状が続きます。(完治していなくてもそれなりに使えてしまう為と思われる。)また、少年期の野球肘は変形性肘関節症に移行してしまう場合もあるので、無理をさせず治療に専念した方が良いです。

 

②化学物質によるもの
高脂血症薬(プラバスタチン、ベザフィブラート)、抗生物質(ニューキノロン系)で稀に横紋融解の副作用がみられることがあります。
「手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む」
「手足がしびれる」
「手足に力がはいらない」
「こわばる」
「全身がだるい」
「尿の色が赤褐色になる」などの症状が出た人は一旦薬を止めて医師、薬剤師に相談。
高齢、腎機能低下や糖尿病の人は発症しやすい傾向にあるため注意が必要です。
③細菌感染などの生物的侵略によるもの

結核(結核菌)や梅毒(梅毒トレポネーマ)による筋炎もみられるが近年ではほぼなくなっています。細菌に対する治療には抗生物質を使います。

また、風邪(9割がウィルス)やインフルエンザの時に筋肉や関節が痛くなる事があるが、これは感染に際し白血球がサイトカインという生物活性をもった物質を放出しているためと考えられている。

 

④自己免疫機序によるもの(膠原病)

リウマチ、強皮症、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、など。

通常、免疫は身体にとって害になる物質(ウィルスや細菌など)を攻撃して身体を守ってくれますが、自己免疫疾患の場合は身体を守るはずの免疫が、自分の身体を敵だと認識してしまい攻撃するので皮膚、筋肉、関節などに炎症が起こります。膠原病は原因不明な事がほとんどですが、治療には炎症と免疫を抑える為にステロイド薬を使い、適度に運動をしたり、身体や、特に関節を冷やさない事が大切になります。

 


 

慢性化した筋肉や筋膜の痛みの多くは発赤や発熱を伴わず、むしろ患部が低温になっている場合があるので、鍼やマッサージなどで血流を促す事で症状が改善します。また疼痛、発熱、発赤、腫脹がある急性期の段階では自分でマッサージなどはせずRICE処置が基本になります。

細菌感染や自己免疫疾患に伴う炎症がある場合は、まず病院に行き抗生物質やステロイドなどの消炎薬を処方してもらいます。

 

風邪

 

所謂上気道炎(鼻、のどの炎症)です。風邪以外に扁桃炎、咽頭炎、中耳炎なども上気道炎になります。

急性上気道炎のほとんどがウィルスによるものです(90%以上)。ウィルスには抗菌薬での効果は期待出来ません。

空気が乾燥する冬場に発病しやすいです。

 

 


症状

鼻症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ)咽喉頭症状(のどのイガイガ感、咽頭痛、かすれ声)が主な症状。咳や痰がみられる場合には気管支炎や肺炎に進展している可能性もある。

発熱、悪寒。大抵は一週間以内に自然治癒し、発熱も三日以上続く事は少なく、インフルエンザ以外では38℃以上になることはあまりない。


予防

①手洗い

外に出た時や、家族が風邪にかかった時手洗いうがいが大事になります。ウィルスは気を付けていてもいろんな所から拾ってきてしまうので、知らないうちに手についていて鼻や口の中にまで運んできているかもしれません。手洗いはさっさと済ませるのではなく石鹸などで10秒以上は揉み洗いをした後にしっかり水で流してあげることで付着したウィルスが効果的に落ちていきます。(アルコール消毒もお勧めです

また、うがいをする際もアーなどの声を出しながらすることでより奥まで洗うことが出来ます。

②マスク着用

人込みが多い所に行けば行くほど、ウィルスを貰う確率は増えていきます。マスクはウィルスを貰わない為や、周りに風邪をうつさない為にも必要です。マスクをする際は、鼻の周りや口周りに隙間が出来ないように自分に合ったサイズを選びましょう。またマスクを捨てる際は着用面に触れないようにしましょう。マスクをすることで保湿効果も期待できるので睡眠時などに使用するのも良いでしょう。

③温度、湿度の調節

ウィルスは寒く乾燥した環境を好みます。特に冬場は気温も下がり、乾燥するので風邪が流行する時期になります。ウィルスが感染しにくい環境は温度が20℃~25℃湿度が50%~60%ぐらいです。また家電の中でエアコンが一番乾燥しやすいのでエアコンのみで部屋を暖めている人は、湿度管理に気をつけましょう。(湿度が70%以上になるとカビが繁殖しやすくなります。)

④免疫力強化

身体の抵抗力が強ければウィルスが体内に侵入しても風邪にかかることはありません。身体が冷える事で免疫力は下がりウィルスの活動は高まってしまうので、まずは身体を温める事が大事です。もし風邪にかかってしまっても微熱程度であれば無理に熱をそのままにしている方が治りが早くなります。(微熱程度なら入浴も可能)体温が高いと身体から出ていく水分も多くなるので、スポーツドリンクなどでいつもより多めに水分補給を心掛けましょう。

また、偏った食生活や、運動不足、ストレス、睡眠不足なども免疫力の低下に繋がります。日頃から運動などを心掛けて、ウィルスに負けない身体を作りましょう。

 


 

風邪を引くと細菌の二次感染を伴う事が多く、肺炎や気管支炎などにかかる場合があります。特に体力が少なくなっている高齢者は肺炎などを発病すると危険なので、高齢者と一緒に住んでいる方は手洗いうがいなどしっかりとして家にウィルスを持ち込まないように気を付けましょう。
※38℃以上の熱はインフルエンザの可能性もあります。
※三日以上たっても症状が軽くならない場合は風邪以外の病気にかかっているかもしれないので専門医に診てもらいましょう。

こむら返り

足のふくらはぎが筋痙攣をおこす事をこむら返りと言います。腓腹筋(ふくらはぎ)が比較的良く攣る事が多いのでこの名前がついていますが、他の部位が攣る場合も症状は同じです。

原因

①血行不良

筋肉の血流が不足することでこむら返りになることがあります。特に冬場など冷えることにより血管が収縮するので夏場よりこむら返りになる頻度は増えていきます。また、ふくらはぎは筋肉のポンプ作用で血液を循環させたり筋肉の収縮によって熱を発生させていますが、普段運動をされない方はこの筋肉が弱い為普通の人よりもこむら返りになりやすくなります。

②筋肉疲労

筋肉を使わない事によって起こるこむら返りもあれば、逆に筋肉を酷使し過ぎた為に起こるこむら返りもあります。運動によってミネラル(カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなど)が急速に消費される事で筋肉の収縮がうまくできず、痙攣しやすくなります。特に夏場で汗が多く出る時期やいつもよりハードな運動を行うとよりミネラルが失われてしまうので注意が必要です。

③妊娠中

妊娠中は普段より体重が増えることにより足に掛かる負担も増え、お腹が大きくなることで血管を圧迫し血行不良をおこしやすくなります。また妊娠中は下肢動脈瘤もできやすくなるので弾性ストッキングなどを履いて予防することも大事です。

 

 


予防

①足を温める

お風呂で身体をしっかり温めたり、就寝時に湯たんぽなど足元に入れるのも良いと思います。電気毛布などは低温やけどの心配や、身体が乾燥するので睡眠時にはあまりお勧めしません。

②運動

普段使っていない筋肉を使おうとする攣ってしまう事があると思います。寝る前やお風呂の中などで、足の指でグー、チョキ、パーなど作ってみたり、開いたり閉じたりするだけでも攣る回数は減ってくると思います。慣れていないと、この運動をしている最中に攣ってしまう事があるので無理のない範囲で行いましょう。

③クールダウン

筋肉の疲れを取るためには、運動後のクールダウンが大事になります。試合などが終わってすぐに休むのではなく軽いランニングをしたり、良く疲れが溜まる部位をストレッチしておく事で疲労物質の排出を促し筋肉の回復が早くなります。

④水分、ミネラルの補給

水だけではなく、ミネラルも同時に摂取することで筋痙攣を起こす確率を減らすことが出来ます。また、水分やミネラルの不足は筋痙攣だけでなく、脱水症状や熱中症などの危険もあるので運動中はスポーツドリンクで水分補給、睡眠時前にコップ一杯は水を飲むなどを意識しましょう。


 

 

こむら返りになってしまった時は、筋肉が痙攣して収縮しているので反対に筋肉を伸ばしてあげる事で治りが早くなります。

また、痛みが治まったからといって急に動いたりするとまた痙攣を起こしてしまう場合もあるので、痛みが治まっても気を抜かずゆっくりと動き出す方が良いと思います。

 

 

ギックリ腰

海外では魔女の一撃とも呼ばれ、いきなり腰部に痛みが走り、酷い時は動く事もままならないほど痛みが出る事こともあります。
原因は色々あり、筋肉によるもの、関節や椎間板によるもの、骨や腫瘍によって痛みが出ているものなど様々です。
急な腰痛があっても全てがぎっくり腰とは限りません。
・安静時痛、夜間の痛み(細菌感染、癌など)
・発熱(細菌感染など)
・背骨の殴打痛(骨折など)
・原因不明な体重減少(癌など)
・排尿障害(馬尾症候群など)

 

上記の症状がある方は所謂ぎっくり腰(筋肉や椎間関節の捻挫)が原因の痛みではなく、他に原因がある可能性が高いです。放っておくと症状が悪化するものばかりなので、早期に医療機関への受診が必要です。他にも一か月以上痛みが変わらない場合など治療院に通ってる場合でも一度病院で検査してもらうのがよいでしょう。

 

やってしまったばかり、2~3日(なるべく無理をせず大人しくしている期間)

この時期は腰が痛いからといって安易にマッサージなどをされると悪化する可能性があるので、接骨院や治療院にいくのが望ましいです。もし、リラクゼーションや個人でマッサージをされるのならば患部(炎症を起こしている腰の部分)は触らずに、背中や臀部をマッサージしてもらうのが良いでしょう。

 

ご自身で身体を動かしてみると痛みが強く出る動きがわかると思います。最初の痛みが強烈なので動かすことに抵抗があると思いますが、前、後ろ、左右に倒す、左右に身体を捻るなどの動作をゆっくりと行い痛みが出る動きを確認してみてください。基本的に急性期では痛みが出る動作をしないようにするので、痛みが出る動きがわかったらその動きをなるべくしないよう生活しましょう。コルセットなどを用いて動きを制限するのも良いと思います。(寝るときはコルセットを外してください。)

この時期のお風呂は患部が温まると炎症が酷くなる場合があるのでシャワーなどにして済ましてしまう方が安心だと思います。

横向きが腰の筋肉が緩みやすいので夜寝るときは横向きがお勧めです。横向きで痛みが出る人は他の上向きでも構いませんが、うつ伏せで腰が常に反っている様な状態はお勧めしません。うつ伏せで寝るのならば顔の枕を外してお腹から骨盤あたりに入れてあげると腰が緩んで痛みも減ると思います。


 

痛みが落ち着いてきたら(血流を良くして治りを早める時期)

患部の炎症が治まり、痛みが少なくなってきてある程度動けるようになってきたら今度は急性期の時とは違い身体を動かしていきます。痛みは残っていてもやったばかりの時に比べ動ける範囲が広くなってきていると思うので多少痛みが出ても怖がらずに身体を動かしていくのが大事になります。軽くストレッチを始めたり、家の周りを散歩するなど活動範囲を広げていきます。(この時、まだ最初の時と変わらない痛みが出ている場合は医療機関で検査してもらうか、治療院などで一度治療してもらう方が良いです。)

この時期はコルセットを装着する時間も短くしていきます。コルセットを付けていると身体が安定して動かしやすいのですが、あまりコルセットに頼っていると依存してしまいコルセットがないと不安になってしまう事もあります。正常な身体にコルセットは必要ないので長時間身体を使う時以外はコルセットを外すよう意識した方が良いでしょう。

 

 


基本的にぎっくり腰は初めの痛みが強く深刻な印象を受けますが放っておいても時間と共に良くなってくる疾患です。

ぎっくり腰をやってしまったな、と思ったらそこで活動を止めて身体の状態を確認してみましょう。痛みが強い場合はその日は仕事も早めに切り上げた方が良いでしょう。痛みがあまり強くなく、動ける場合でも我慢して動くことで徐々に痛みが強くなり次の日には動けなくなるパターンもあります。治療をしていても徐々に痛みが強くなっていくパターンのぎっくり腰の方が治りが悪いです。多かれ少なかれ急にくる痛みは身体を動かさない為に出ている痛みなのでその日は無理をせず様子を見て下さい。(慢性期の痛みは反復する動きを避けリハビリなどで動かした方が治りは早くなります。)